阪神淡路大震災を乗り越えた古民家の再生と土地活用

構造 木造
階数 2階建て
延床面積 185.08㎡
竣工年月日 平成27年4月1日
設計・監理 ㈱日の出組
一級建築事務所
施工 ㈱日の出組

 

古民家再生の経緯

お施主様は、兵庫県にある高級住宅街の立ち並ぶ芦屋の山手側にお住まいの70代のご夫婦です。

今回の古民家再生を行った建物は、ご両親がご健在の時に住んでおられた家で、1995年の阪神淡路大震災を乗り越えた立派な木造住宅ですが、地震の影響からか家が傾いていました。

お施主様はもうじき車も乗れなくなる年齢になることを想定して、車が必要な山側に住み続けるよりも交通機関の多い海側に住むことを考えられておられました。

そこで、「すぐではないけど、近いうちに実家に住みたいと考えている。」と、インターネットから日の出組を見つけていただき、ご依頼をくださいました。

今回の古民家再生の要望

  • 家の傾きを補正したい
  • 耐震補強をしたい
  • 夫婦二人で住めるようにしたい
  • 2階の小屋裏スペースを収納として使えるようにしたい
  • 広い庭を有効利用したい(月ぎめ駐車場に変更)

古民家再生においては、もともとあった材料を再利用し、適切な補強を行うことで家を長持ちさせることもできます。

傾きのある場合の古民家再生は補正することが大切

古くから建つ家は、屋根瓦の下に土があり、最近の家の屋根と比べると非常に重く、家自体も太い柱が使われていたり、昨今の木造住宅と比べても重量があります。

そのため、経年による地盤沈下や構造部の歪みにより徐々に傾いてくることがあります。

もちろん長い期間、近くの道路を走る車の振動、台風などの強い風による負荷、地震などによる負荷に耐えていることも家が歪む理由の一つです。

だからこそ、古民家再生をするとなった場合、家の傾きをしっかりと補正してあげることが大切です。

日の出組は曳家・揚前(家をそのままの状態で移動させたり・持ち上げること)により適切な状態に補正する実績と技術があります。

古民家の傾きを補正する揚前工事の様子

ジャッキアップ工法で傾きを補正している画像です。
(長年の職人の経験と技術により慎重に傾きを補正していっている様子です。)

傾いた状態を正しく補正することで、開きが悪かった既存の木製建具がスムーズに動きだし、既存建具の再利用が可能となります。

⇒ 日の出組の曳家・揚前工事の詳細はこちら

耐震性を上げるために耐力壁を設置

柱から柱までのスパンの広いところに耐震性能を上げるための耐力壁を設けました。

古民家の場合、1階に耐力壁が少ない場合がほとんどです。

古民家再生のプランによっては適切な位置に耐力壁を新設することも、耐震性を上げるために重要なポイントの一つです

石場建工法の古民家床の湿気と寒さ対策

石場建工法は石の上に柱を持ってきており、それ以外の場所は土になっています。

土のままでは、湿気があがってきて、シロアリがでる原因になります。

古民家再生をする場合、それを防ぐために防湿シートの上に土間コンクリート打設するなどの対策が有効な手段です。

湿気シートの上に土間コンクリートを打設した様子です。

大引き・根太の配置の様子です。

※木材がオレンジ色に見えるのは防蟻処理を施した部分です。

根太の間に断熱材を敷き詰めている様子です。

根太の間に敷き詰めることにより、冬の床から冷さを遮断することができます。

古民家再生後の状態

土間のある和風の玄関

玄関の土間

今は珍しくなってしまった土間のある玄関ですが、現代風のモダンな照明とセットにすることで、より雰囲気の良い玄関になっています。

住むことになったら、来客の際のちょっとした雑談場所にも使えます。

広くなったダイニングキッチン

ダイニングキッチン

ダイニングキッチンです。

リフォーム前は台所だけでしたが、隣接する板間とつなげスペースを広くすることにより、広いダイニングキッチンとして利用できる空間にしました。

ダイニングキッチンだけは、手入れがしやすい仕上げ材(フローリング・クロス等)でリニューアルしました。

和室(仏間)と広縁

仏間

既存の愛着のある柱・梁・欄間・障子等は、揚げ前工事で柱や梁等を修正したことにより、再利用可能となりました。

古き良き和室です。

庭に面した縁側

広間とつながっている庭に面した縁側です。

小屋裏の物置スペース

お施主様の要望等により、2階の小屋裏スペースは、床板を張り替え、収納スペースに使えるようにしました。

広い庭を縮小して月極駐車場として活用

月極駐車場

土地活用の一環として庭の一部を月極駐車場に変更しました。

古民家再生は家を補正することから始まる

今回ご紹介させていただいた古民家リフォームは、阪神淡路大震災により家が傾いていたために、揚げ前工事(立ち直し)を行いました。

古民家再生をするのであれば、まず最初に家の傾き等の補正をすることが大事です。

そのため、曳家・揚前技術を持っている建設会社に依頼をすれば、中身がキレイになるだけでなく、長く快適に住める家になります。

最近はインターネットでたくさんのリフォーム事例をみることができますが、思い出深い古民家を再生して、また次の世代に引き継いでいきたいと考えておられる場合、古民家再生に関する技術の豊富な建設会社が一番だと思います。

日の出組は、100年以上も曳家から建築まで、建物に関するあらゆることに携わらせていただいております。

古民家のリフォームをお考えの方は、ぜひお気軽にお問合せください。